大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)4536号・昭42年(ワ)1094号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告は、オフ・ハイヤー時間の傭船料を控除すべきである旨主張するので、この点について判断する。

本件定期傭船契約第一四条において、「入渠、修繕などオフ・ハイヤー期間中の傭船料は、時間割により船主負担とする。」旨の合意があること、日動丸が昭和四一年五月六日から同月一四日までの間入渠修繕していたことは当事者間に争いがない。

<証拠>によれば、日動丸は、前記のとおりキシロールの汚損原因となつた塗装不完全の修繕のため、被告主張の期間入渠した事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。

しかしながら、右第一四条は、帰責事由が傭船者にあつて船主にはない場合には適用がないと解すべきである。けだし、定期傭船契約は船舶の賃貸借と労務供給契約との混合契約ないしは企業の賃貸借契約と解すべきところ、修繕、入渠等船体の使用収益とその対価の支払関係については商法第一条の趣旨に反しない限り一般に物の使用の許容と対価の支払の社会的関係を典型的に取り扱つている民法の賃貸借の規定の解釈に従うべきものであり、したがつて、公平の原則に基礎をおく民法第六一一条第一項の反対解釈と同法第五三六条第二項の趣旨から、帰責事由が傭船者にあつて船主にはない場合には、傭船料債権は影響を受けないものというべきであるからである。そして、成立に争いがない甲第一号証によれば、本件定期傭船契約第一四条には、「船体、汽機、汽缶の掃除、破損、衝突、座洲、座礁、火災、検査(中間及び定期検査を含む)、定期消毒、船員の雇入雇止手続、船員のストライキその他本船の事故による時間をオフ・ハイヤー時間とするが、天候不良又は貨客に関する出来事のため本船が避難又は寄港した場合はオフ・ハイヤー時間としない」旨定め、右説示の場合を除くことの明文の規定がない事実は認められるけれども、右規定からみれば、堪航力、堪貨能力担保義務のある事項についてはオフ・ハイヤーとするが、不可抗力または傭船者側の事情による船舶の使用不能期間はオフ・ハイヤー時間としない趣旨と考えられ、また一般に合理的解決を求めるものと解される商人間の取引においては、法律関係の画一的機械的処理もさることながら、公平の原則の尊重も前提とされていると解されるから、本件定期傭船契約が右解釈を許さないものということはできない。

ところで、前述のとおり、日動丸の塗装の不完全は、本件定期傭船契約上、原告に帰責事由がなく、かえつて前記認定のとおりの委任準委任契約上の被告の債務不履行によるものであり、しかも右債務不履行には被告の過失があるから、日動丸の前記入渠、修繕期間中の傭船料の支払義務が本件定期傭船契約第一四条によつて発生しないとの被告の主張は失当である。(野田殷稔)

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